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鶏唐雑炊のあれこれ。

Grms_キャラ語り  

現在公開中のフリーゲーム「Grms」のキャラ語りです。
ネタバレ有りのゲームプレイ前提記事になっています。

原作ゲームのDLは下記からどうぞよろしくお願いします。
ノベルゲームコレクション(ブラウザ版・DL版)
ふりーむ!(DL版)
nizitsuku(DL版・キャラクター集付き)

おまけ4コマ劇場もよろしくお願いします。

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category: 小話

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あなたの恋は何色ですか  

あなたの恋は何色ですか。
そう尋ねられた月子は、細い指先を唇にあてて考え込んだ。
瞬きをする長いまつげを見つめながら、私は意識的に呼吸の速度を下げる。
そうしなければ、彼女の横顔を見続けることができないからだ。
「白、かな」
月子がふいにこちらを向いて答えた。
その瞳に射止められるように、私は息も瞼も止まってしまって、心臓さえ止まる錯覚。
こんなことは彼女の隣に居る限りいつもだ。私はこの甘い一瞬が好きだった。
だけど今は、一滴、異物が混じった苦味。
冗談じみた気持ちで尋ねた質問。何色だっていいはずだった。しかし、その答えに私は存外ショックを受けていた。
自分の答えと違ったこと以上に、その色だけは。
月子の中にまだあの純白の名前を持つ彼女が居るのかと思うと、その色だけは聞きたくなかった。
自分の表情が取り繕え無くなりそうで、私は顔を逸らす。
月子が私の手を撫でる。優しい指先。唇に触れていた指先。
「どうしたの?」
私の色と違ったから。
本当のことだけを話した。嘘はついていない。隠し事を、しただけ。
だけど月子は素直に騙されて、同じ答えじゃなかったなんて理由で拗ねている私に微笑んだ。
時々、彼女は私の全てを見透かして弄んでいるだけなんじゃないかと訝しる。
それどころか、彼女の心は今もずっと遠い場所にあるんじゃないかと――
思考が止まった。
月子の白い肌色が目の前にある。さっきまで意識の中心だった手はもう感覚さえ無くて、唇だけが熱い。
瞼を閉じると月子の匂いが私の奥に届く。月子の指が動いて、私も無意識に呼応して絡まる。
「……今、何色?」
さらりとした声が囁く。頭が真っ白になる。ああ、白だ。全てが白い、白。白……
月子のしろくて柔らかい手のひらが、ぼんやりした私の頬を包む。
「ほら、重なった」

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月子と私

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1218244217157210112


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category: 小話

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守れない約束があった  

守れない約束があった。
何者にも決して守れない約束だった。
だけど"それ"は今も約束を守り続けている。
もうとっくに擦り切れて、はじまりを思い出せはしないけれど。
それでも何度目を覚ましても私の傍にはそれがいて、それを見るたび約束が蘇る。
遠いあの日。冷たくて固い地面に、私は血だらけの拳を振り下ろして泣いていた。
どうして泣いていたのか思い出せない。
だけど、あの喉が裂けそうな痛みは、それに会った途端に蘇る。
息もできない絶叫を"あれ"はただ静かに聞いていた。
私の短絡的でおとぎ話のような願いは、その場限りの慰めで事足りたはずだった。
しかし、あれは頷いて短い返事で承諾したのだ。
私はもう眠れない。
人と同じ場所で、同じ眠り方を、私はもう二度とできないだろう。
いつか魂が焼き果てるまで、私がひとりで眠ることは、もう二度とない。
何度廻れど地獄に行き着くのであっても、ただその約束があるだけで、私は裸足でだって地獄を歩けるのだ。
失くしたものがあるらしい。理が差し出すべしと定めた何かを私は失ったらしい。
それが例え人の価値で最も尊いものだったとしても、私にはもう必要ないだろう。
この身が幸か不幸かを考える人の習慣は、私にはもう当てはまらない。
目を閉じるのは自分の意志で決めることで、そして目を覚ませば約束通り"これ"が居る。
私はただ、変わらないものが欲しかった。

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はじまりの回想

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1217861571629633536


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category: 小話

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もう何も聞こえない  

もう何も聞こえない。
ストーブをつけた部屋は、徐々に灯油の匂いで満たされていく。
閉め切ったカーテンから透ける光は、まるで春の暖かさを纏ったように明るい。
しかしその実開けてみれば、厚く積もった雪が頼りない陽光を反射しているに過ぎないのだ。
私はもう騙されない。
君がみんな殺した部屋で、私は息の吐き方を覚える。
誕生日ケーキのろうそくを、もう一度だけ吹き消したいと思った。
もう何も聞こえない。誰の悲鳴も。私の悲鳴も。
ハッピーバースデーの歌は君に歌ってもらおう。
この静けさに、この雪の下に、たったひとり取り残された私のために歌ってくれ。
いつか雪が溶けて春が来て、窓の光が嘘をつかなくなった頃に。
もう誰も二度と目を覚まさない場所で、何にもならない私のために。
ろうそくの火を吹き消すためだけに、私は最後の酸素を吸うから。
屋根の上から雪の落ちる音が、てのひらを越えて耳に響いた。
私は耳をふさいでいた両手を離して瞼をひらく。
埃臭い部屋。光は沈黙して暗く、大勢が窓を叩くような吹雪の音。
もう一度耳をふさいでも、この手は穴だらけでなんの役にも立たない。
呼吸が浅く戻っていく。君を探して、冷たいシーツをまさぐっていく。
温度の無い君の手を握って。喉から呪文を絞り出す。さあ。
「全部嘘だよ」

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いつかどこかのマイちゃん

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1217488407862992896


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今日も空が青い  

今日も空が青い。
しかし上を見れば白く突き刺さるような陽光に目が眩んで、私はその青を指の隙間からしか見ることができなかった。
暑い、茹だるような、夏。
夏と呼べるのだろうか。もうずっと気温は上がり続け、人間は毎日カップの底に残る一滴まで水を飲んでいる。
天は時々思い出したように雨を降らせるが、それは決して喜びの雨とはならなかった。
雨が降ればたちまち悲鳴が上がり人々は我先にと駆け出し、"あれ"に捕まった者は処刑される。そんな地獄の合図なのだ。
外出すると雨が降る。雨男、雨女。人間がとうに迷信にしたそれを、冗談の通じない"あれ"らは人間より遥かに高度なはずの頭で信じている。
……実際に高度かどうかは、私には知る由もないが。
作業着の袖で汗を拭う。深く帽子を被り直すと、ますます青は見えなくなった。
スピーカーから無機質な放送が流れ、聞き終わらないうちに清掃用具を片付ける。
管轄の公園を出て灼熱のコンクリートを歩いた。虫の声もしないこの景色は、やはり夏と呼ぶには静かすぎる。
その静寂を破って、大きなガラスが割れるような音が響いた。
両肩を押し潰されるような感覚になって、それを逃がすように溜息を吐いた。気休めにもならなかった。
私は音がしたほうへ向かって靴底の焼けるようなコンクリートを歩く。
辿り着けばやはり、散らばった破片が道いっぱいに広がっていた。空を映して、青い、まるでガラスのようなしかし人間の破片が。
すべてが渇き、割れていく、夏。夏もどき。耐え切れなくなった人類は、心も体も変質してしまった。
ああ、あの建物の屋上から飛び降りたのだな。見上げると眩しくて、やはり青は狭かった。
指の隙間から見る青も、地面に散らばる青も、さほど変わらなく思えた。
私は荷物を下ろして仕事道具を手に取った。片付けなければならない。
――ああ、気が重いな。

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マイちゃんと白い小人
https://twitter.com/sui_hope/status/1043143237433614343

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1217104589784154112


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