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鶏唐雑炊のあれこれ。

今日も空が青い  

今日も空が青い。
しかし上を見れば白く突き刺さるような陽光に目が眩んで、私はその青を指の隙間からしか見ることができなかった。
暑い、茹だるような、夏。
夏と呼べるのだろうか。もうずっと気温は上がり続け、人間は毎日カップの底に残る一滴まで水を飲んでいる。
天は時々思い出したように雨を降らせるが、それは決して喜びの雨とはならなかった。
雨が降ればたちまち悲鳴が上がり人々は我先にと駆け出し、"あれ"に捕まった者は処刑される。そんな地獄の合図なのだ。
外出すると雨が降る。雨男、雨女。人間がとうに迷信にしたそれを、冗談の通じない"あれ"らは人間より遥かに高度なはずの頭で信じている。
……実際に高度かどうかは、私には知る由もないが。
作業着の袖で汗を拭う。深く帽子を被り直すと、ますます青は見えなくなった。
スピーカーから無機質な放送が流れ、聞き終わらないうちに清掃用具を片付ける。
管轄の公園を出て灼熱のコンクリートを歩いた。虫の声もしないこの景色は、やはり夏と呼ぶには静かすぎる。
その静寂を破って、大きなガラスが割れるような音が響いた。
両肩を押し潰されるような感覚になって、それを逃がすように溜息を吐いた。気休めにもならなかった。
私は音がしたほうへ向かって靴底の焼けるようなコンクリートを歩く。
辿り着けばやはり、散らばった破片が道いっぱいに広がっていた。空を映して、青い、まるでガラスのようなしかし人間の破片が。
すべてが渇き、割れていく、夏。夏もどき。耐え切れなくなった人類は、心も体も変質してしまった。
ああ、あの建物の屋上から飛び降りたのだな。見上げると眩しくて、やはり青は狭かった。
指の隙間から見る青も、地面に散らばる青も、さほど変わらなく思えた。
私は荷物を下ろして仕事道具を手に取った。片付けなければならない。
――ああ、気が重いな。

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マイちゃんと白い小人
https://twitter.com/sui_hope/status/1043143237433614343

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1217104589784154112


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