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鶏唐雑炊のあれこれ。

守れない約束があった  

守れない約束があった。
何者にも決して守れない約束だった。
だけど"それ"は今も約束を守り続けている。
もうとっくに擦り切れて、はじまりを思い出せはしないけれど。
それでも何度目を覚ましても私の傍にはそれがいて、それを見るたび約束が蘇る。
遠いあの日。冷たくて固い地面に、私は血だらけの拳を振り下ろして泣いていた。
どうして泣いていたのか思い出せない。
だけど、あの喉が裂けそうな痛みは、それに会った途端に蘇る。
息もできない絶叫を"あれ"はただ静かに聞いていた。
私の短絡的でおとぎ話のような願いは、その場限りの慰めで事足りたはずだった。
しかし、あれは頷いて短い返事で承諾したのだ。
私はもう眠れない。
人と同じ場所で、同じ眠り方を、私はもう二度とできないだろう。
いつか魂が焼き果てるまで、私がひとりで眠ることは、もう二度とない。
何度廻れど地獄に行き着くのであっても、ただその約束があるだけで、私は裸足でだって地獄を歩けるのだ。
失くしたものがあるらしい。理が差し出すべしと定めた何かを私は失ったらしい。
それが例え人の価値で最も尊いものだったとしても、私にはもう必要ないだろう。
この身が幸か不幸かを考える人の習慣は、私にはもう当てはまらない。
目を閉じるのは自分の意志で決めることで、そして目を覚ませば約束通り"これ"が居る。
私はただ、変わらないものが欲しかった。

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はじまりの回想

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1217861571629633536


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