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鶏唐雑炊のあれこれ。

あなたの恋は何色ですか  

あなたの恋は何色ですか。
そう尋ねられた月子は、細い指先を唇にあてて考え込んだ。
瞬きをする長いまつげを見つめながら、私は意識的に呼吸の速度を下げる。
そうしなければ、彼女の横顔を見続けることができないからだ。
「白、かな」
月子がふいにこちらを向いて答えた。
その瞳に射止められるように、私は息も瞼も止まってしまって、心臓さえ止まる錯覚。
こんなことは彼女の隣に居る限りいつもだ。私はこの甘い一瞬が好きだった。
だけど今は、一滴、異物が混じった苦味。
冗談じみた気持ちで尋ねた質問。何色だっていいはずだった。しかし、その答えに私は存外ショックを受けていた。
自分の答えと違ったこと以上に、その色だけは。
月子の中にまだあの純白の名前を持つ彼女が居るのかと思うと、その色だけは聞きたくなかった。
自分の表情が取り繕え無くなりそうで、私は顔を逸らす。
月子が私の手を撫でる。優しい指先。唇に触れていた指先。
「どうしたの?」
私の色と違ったから。
本当のことだけを話した。嘘はついていない。隠し事を、しただけ。
だけど月子は素直に騙されて、同じ答えじゃなかったなんて理由で拗ねている私に微笑んだ。
時々、彼女は私の全てを見透かして弄んでいるだけなんじゃないかと訝しる。
それどころか、彼女の心は今もずっと遠い場所にあるんじゃないかと――
思考が止まった。
月子の白い肌色が目の前にある。さっきまで意識の中心だった手はもう感覚さえ無くて、唇だけが熱い。
瞼を閉じると月子の匂いが私の奥に届く。月子の指が動いて、私も無意識に呼応して絡まる。
「……今、何色?」
さらりとした声が囁く。頭が真っ白になる。ああ、白だ。全てが白い、白。白……
月子のしろくて柔らかい手のひらが、ぼんやりした私の頬を包む。
「ほら、重なった」

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月子と私

診断メーカーお題からTwitterで書いたものです。
https://twitter.com/sui_hope/status/1218244217157210112


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